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Author:メケオ
38歳。家族は妻が一人。ロック、ブラックミュージック、無頼派文学などを好む。尊敬する人物は太宰治と岡本太郎とポールウェラー

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火宅の人 檀一雄
 前妻との子供一郎は窃盗をやらかし、次郎は全身麻痺で寝たきり、その下には三人の子供が控え、夫の浮気を知った妻は家出騒ぎを起こす。そんな火宅にありながらも、主人公「桂一郎」は女と酒に溺れては、放蕩、濫費、狂躁を繰り返し、あげくの果てには海外にまで行き遊ぶと言う檀一雄の自伝的小説です。
 ここまで書くと主人公「桂一郎」(檀一雄)があたかも極悪人のように思われますが、実際にこの小説を読み進めるとそんな風には思えません。むしろ、自身を解放し悩みながらも、一生懸命にあるがままに生きようとする主人公に感動すらしてしまいます。男なら誰でも憧れてしまう生き方、いや、失礼、誰でもとは言いません、私は大いに憧れました。

 小説の中で印象的なシーンはたくさんありますが、中でも一郎が窃盗で捕まり、迎えに行った際の係官との問答が私は大好きです。女と酒に溺れ放蕩を繰り返す父親に向かって係官はお子さんをみすみす破局に突き落とすような環境を変えてあげられませんかと訴えます。それ対して主人公はこう答えます。

「いやー、破局に落ちているのは私です。ただ、私は自分なりの誠実で、せいいっぱいに生きているつもりですから、破局だからと云って、よけるわけにはゆかないのです」

 失う事を恐れず、恥をかく事を恐れず、心のままに必死に生きている、いや心のままに生きずにはいられない主人公の姿がとても印象的です。

 無頼派作家として知られる檀一雄ですが、親交の深かった太宰治とは対象的な性格のように思えます。なにしろ檀一雄には虚弱やナイーブと言う言葉は似合いませんし、それは泳ぐ事が一番のストレス解消だったと言う事や、料理を食べる事も作る事も大好きで「壇流クッキング」と言う本を出していると言う事実からもみてとれます。太宰が泳いでストレス解消したり「太宰流クッキング」なんて想像できませんもんね。なんでも楽しそうなことには飛びつき、気の向くまま放蕩を続ける豪放な魂、それが檀一雄と言ったところでしょうか。

「チチ帰った?」「うん帰ったよ」「もうドッコも行かん?」「うんドッコも行く」
 
 石神井の家から、青森、浅草、ニューヨーク、ロンドン、パリ、帰国後には九州へ、その後東京でのホテル暮らし。放蕩の旅路は果てなく続きます。

 約二十年を費やした檀一雄の自伝的小説「火宅の人」機会があればぜひ一読ください。


火宅の人 下    新潮文庫 た 5-4 火宅の人 下  新潮文庫 た 5-4
檀 一雄 (1981/07)
新潮社

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テーマ : 本の紹介
ジャンル : 小説・文学
書評 檀一雄 TB(0) CM(0) 

親友交歓 太宰治
 昭和二十一年、罹災し津軽の生家に避難していた太宰は或る男の訪問を受けます。その男とは幽かに見覚えのある小学校の同級生であったところの平田と言う男でした。その男の「酒はないのか?」「おまえの女房を呼んでお酌させろ」「配給の毛布を俺にくれ」などの厚かましい要求や、男の東京時代の武勇伝などを聞かされる様子などが太宰独特の文体でおもしろおかしく綴られています。

 この太宰曰く見事で、あっぱれで、好いところが一つもみじんも無い親友の姿も、もちろんおかしいのですが、それに対応する太宰自身の相手をあしらえ切れず狼狽し、へどもどする姿や、どこか軽薄でずる賢く冷めた態度が自虐的に描かれていて、そこがまたこの短編の読みどころになっています。

 太宰自身も小説の中で言っているように、この農夫の姿を描き、彼の嫌悪する性格を披露したいのでなく、相手の事を楽しみ愛情を感じているようにも思えます。

 そして別れ際に、この親友が太宰に向かって言う意味深な一言、「威張るな!」。実際に言われたのか、太宰の創作なのかはわかりませんが、この一言はあっぱれと言う他ありません。はじめて読んだときに「やはり太宰は天才だ」とすごくしびれました。

 太宰は落語などから笑いの秘訣を学んだと言いますが、この「威張るな!」には落語的なオチと、笑いだけで終わらせないひねりが含まれています。「威張るな!」この一言を言った相手を、軽蔑しているようであり、苦笑いしているようであり、尊敬しているようでもあります。

 太宰作品の中では、それほど有名ではない作品ですが、すらすら読めるユーモアに満ちたこの「親友交歓」。新潮社の文庫版「ヴィヨンの妻」の中に収められています。機会があれば、ぜひご一読ください。


ヴィヨンの妻 ヴィヨンの妻
太宰 治 (1950/12)
新潮社

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書評 太宰治 TB(0) CM(0) 

「ワイルド・ウッド」 ポール・ウェラー
 ポール・ウェラーのソロ活動後二枚目のアルバムにして超名盤!スタイルカウンシル活動停止後、恐る恐る始めたソロ活動でしたが、この「ワイルド・ウッド」で英国、日本のトップシーンに完全復活を果たしました。

 初めて、このアルバムを聞いた時の感動と言ったら忘れる事ができません。一曲目の「サンフラワー」で完全ノックアウト。ううん・・・かっこ良すぎる。ザ・ジャム時代スタカン時代とは違う自然体で鳴り響き包み込むような曲やアンサンブルは当時「フォーキー」などと形容されたりしたものです。

 三十代になり、ブラックミュージックやロックへのこだわりや葛藤が自然と取れ、ただ自分らしい音楽をやろうとするポール・ウェラーの姿がここにあります。

 他にも特筆すべきは、アルバム全体の音作りです。リヴァーブやディレイを抑え、生々しく個々の音が伝わってくるサウンドもこのアルバムの一つの特徴と言えるでしょう。
 当時、このアルバムのサウンドがあまりにも素晴らしく感動してしまった私は、自分が活動しているアマチュアバンド「ザ・ピップ・エレキ・バンド(仮名)」のレコーディングにもこんなサウンドにして欲しいと持参し、「こんな音で録音したら下手がバレバレだぞ」と却下されたという悲しい思い出があります。

 「サンフラワー」の他にもビートルズの「ロッキー・ラックーン」を思い起こさせる「ワイルド・ウッド」や大人テイストの「オール・ザ・ピクチャーズ・オン・ザ・ウォール」息子の事を歌った「ムーン・オン・ユア・ピジャマズ」、そしてなんと言っても歌詞も最高に素晴らしい「シャドウ・オブ・ザ・サン」などが個人的にはおすすめです。
 
 いつでも聞ける色褪せない名盤。ぜひ、聞いてほしい一枚です。


ワイルド・ウッド ワイルド・ウッド
ポール・ウェラー (2006/09/20)
ユニバーサルインターナショナル
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テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽
オススメCD ポール・ウェラー TB(0) CM(0) 


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