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「OH NO NOT MY BABY」 DustySpringfield

2008.12.11 音楽 GirlPop
 ダスティ・スプリングフィールドと言えばルルやマリアンヌ・フェイスフル、サンディー・ショウ、トゥウィンクルなどと供に60年代イギリスガールズポップとして有名だけれど、その中でも、とりわけR&Bフレーバーにあふれ、実力、知名度どちらも一番のガールズポップ代表格と言っていいんじゃないかなー。

 そんな彼女のヒット曲は「二人だけのデート」や「この胸のときめきを」などなど、いぱーいあるわけで、どの曲も大好きなわけなんだけども、今日は意外なところで「OH NO NOT MY BABY」を紹介したい。

 この曲は言わずと知れた、ゴフィン&キングの作品でオリジナルはマキシン・ブラウンが60年代に大ヒットさせている。キャロル・キング自身もセルフカバーしているし、他にもアレサ・フランクリンのカバーヴァージョンがソウルフルに仕上がっていて異常にかっこいい(余談だけども、歌のバックのギターアンサンブルがたまらない一曲である)。
 
 さてさて、ダスティのヴァージョンだけども、ピアノを中心にした比較的すっきりしたアンサンブルとせつなく丁寧に歌う彼女の声がたまらない。さすが、一部筋では白人ソウルシンガーとまで言われただけのことはある。
 とは言え、この曲の場合、ソウルうんぬんよりも、ダスティの持ってる天性のポップさとせつない感じがうまくマッチされて湿っぽくないせつなさとでも言うようなものが魅力となっている気がする。

 うーん、ダスティ。ルックスは トゥウィンクルの方が好きだけど、たまに「ビバリーヒルズ青春白書」のバレリーに似ている写真があるけど、やはり君は最高だ。たまりませんわん!

この胸のときめきを〜ベスト・オブ・ダスティ・スプリングフィールドこの胸のときめきを〜ベスト・オブ・ダスティ・スプリングフィールド
(2000/07/26)
ダスティ・スプリングフィールド

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「SHOUT TO THE TOP」 THE STYLE COUNCIL

 必殺のキラーチューン「SHOUT TO THE TOP」 洗練されたサウンドに乗せて、てっぺんまで駈け上がれと歌われるこのチューンは、まさにモッズとはなんぞや? そんな疑問に答える名曲なのであーる。

 1982年に「ザ・ジャム」を解散し、新たな道を歩み始めたポールウェラーが結成したザ・スタイル・カウンシルはリッケンバッカー、ベスパ、ロックと言った既成概念から離れ、新しいモッズとしてのスタイルを模索し続けた。
 この姿勢こそが、「モダーンズ」が語源である、真のモッズと言えるのではないかと思うんだけども、まあ、真のモッズなんて語る事が既に真のモッズではないと言ったことで、だったら結局モッズってなんぞや? てっ、だかーらー、その疑問はこの曲で、てっ、堂々巡りを繰り返してみたりして・・・

 それはさて置き、この曲のイントロ、異常にカッコよすぎるでしょー。発売当時、そう思った人がたくさんいたようで、うーん好きにならずにいられないってなことで、この曲のイントロの「チャチャチャッ」と言うアクセントにそっくりなアレンジを施したりした人数知れずです。例えば佐野元春先生の「YoungBlood」とか・・・
 
 後期スタカンのライブではシャッフルにアレンジして演奏していたり、ポール・ウェラーがソロになってからはギター中心のソリッドなサウンドで演奏されていたりして聞き比べてみるのも楽しいけれど、でも、やっぱりアルバムに収録されている最初のヴァージョンが最高かなー。 

アワ・フェイヴァリット・ショップアワ・フェイヴァリット・ショップ
(2000/08/09)
ザ・スタイル・カウンシル

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「Po'Boy」 BobDylan

2008.12.09 音楽 BobDylan
 ディランの30周年の記念ライブのCDを聞いてると、そうそうたるメンバーによる大ディラン大会が行われていて、それを聞いて思うのは、やはり、ディランに名曲がなんと多い事かと言う事。そんなわけで、ディランには紹介したい曲が山ほどあるんだけど、最近お気に入りの一曲で、あまり有名ではないディランの名曲「Po'Boy」を紹介します。

 「Po'Boy」は、通算43枚目のアルバム「Love And Theft」に収録されたアコースティックバラッドで、切ないカントリー調のアンサンブルとディラン独特のたくさんの言葉を畳み掛けるように歌う節回しが最高。
 特にサビの「ポーボーイ♪」の微妙なタイミングのズレ(ズラシ方?)がたまらない。つーか、微妙とは書いたものの、随分の方が的確で、一拍早かったり遅かったりと、一聴するとめちゃくちゃなわけで、もうこりゃ、名人芸の域なんだよねー。ギターのリフレインより早かろうが遅かろうがディラン様が歌うと味が出てかっこよくて、たまりませんわん!ってなことで、例によって、このサビだけでご飯が何杯も食べれそうな雰囲気だ。

 それからバックを固める参加ミュージシャンにも注目したい。この時期のツアーバンドのメンバーが主に参加していて、その中には一部筋の80年代「ベストヒットUSA」世代には「チャリ坊」でおなじみのチャーリー・セクストン君もいる。
 このメンバーとディランが来日した時に観に行った事があるんだけども、変な派手さが無く、シンプルで「ビシッ」と決まっているって感じの「男前サウンド」にすごーく好感がもてた。
 ツアーバンドをそのままにアルバムを作ると言う事は、ディラン自身もこのメンツをかなり気に入っているって事だろうと思う。  

 シェイクスピアの「オセロ」の登場人物も出てくる歌詞が、これまた最高で、読めば読むほど好きになってしまうので、ぜひ、邦盤を購入して読んでみてほしい。
 「哀れな男よ〜」とサビで繰り返されるわけだけど、その視線の先にはいろんな情景や哀愁があって、それをディラン様が歌うのだからこれまた、たまりませんわん!

 「哀れな男よ」。ああ、ディランにならば言われてみたい。
ラヴ・アンド・セフトラヴ・アンド・セフト
(2001/09/12)
ボブ・ディラン

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トカトントン 太宰治

2007.05.08 本 太宰治
 「トカトントン」とタイトルを聞いただけだと、なんの事だ?と首をかしげてしまう事と思います。「トカトントン」とは、この小説の中に登場する主人公をいつも悩ませる金槌の音の事なのです。

 そして、この「トカトントン」と言う小説は、復員青年保知勇二郎からの手紙にヒントを得て書かれ、一愛読者からの作家への手紙と言う形を取っています。

 昭和二十年八月十五日に、兵舎の前の広場でラジオ放送を聞き日本の敗戦を知り、死ぬのが本当だと思い、死のうと思った瞬間に「トカトントン」。それを聞いた途端に白々しい気持ちになった。その後小説を書き、もうすぐ完成と言うところで「トカトントン」。郵便局で一生懸命働いていると「トカトントン」。恋をし、最初のデートで「トカトントン」。労働者のデモ行進を見て感動するが「トカトントン」・・・その金槌の音がなるたびに、なんともはかないばかばかしい気持ちになると言った案配で、「いったいあの音はなんでせう?。この音から逃れるにはどうしたらよいのでせう?」と言った問いかけが作家に出した手紙には綴られています。

 手紙の中での話の展開の仕方は、時に笑いを誘う軽快な語り口調で、やはり太宰ここにありと言った具合で、特に恋の相手「花江さん」とのエピソードが笑えます。

 そして、この愛読者からの手紙だけでも、充分おもしろいのですが、手紙を送られた作家からの返信がこの小説のカギと言えるでしょう。

 少し、長いですが、全て書き出してみます。

 拝復。気取った苦悩ですね。僕は、あまり同情してはいないんですよ。十指の指差すところ、十目の見るところの、いかなる弁明も成立しない醜態を、君はまだ避けているようですね。真の思想は、叡智よりも勇気を必要とするものです。マタイ十章、二八、「身を殺して霊魂をころし得ぬ者どもを懼るな、身と霊魂とをゲヘナにて滅し得る者をおそれよ」この場合の「懼る」は、「畏敬」の意にちかいようです。このイエスの言に、霹靂を感ずる事が出来たら、君の幻聴は止む筈です。不尽。

 この返信の意味ですが、私流に解釈すると、気取った苦悩だね。いかなる弁明も成立しない醜態を演じる事も恐れない気持ちを持たないと駄目だ。知性や常識よりも勇気を持って行動しないといけない。と言っているように思えます。
 また、聖書からの引用の箇所は解釈が二つあって、一つは「何も恐れる事はない、イエスのみを恐れなさい」と言うのと、「身と霊魂とをゲヘナにて滅し得る者=全てを失う事さえも恐れず我が道を行く事こそが尊敬されるべきだ」と言う解釈があると思えます。
 
 私は、はじめてこの小説を読んだ時に、愛読者の手紙がおもしろいなと思うと同時に、愛読者が自分と重なりました。いろんな事に興味を持っては、冷めてしまう自分と似ていたからです。そして、この主人公のように、何か突き抜けたいと思っては行動できずにいたからです。
 
 太宰はこの小説を通して、迷える人達にメッセージを送っていたのかもしれません。いや、きっと私にメッセージを送っていたに違いない・・・うそうそ。

 そんな名作「トカトントン」は新潮社の文庫版「ヴィヨンの妻」に収められています。機会があれば、ぜひご一読ください。
 
 
ヴィヨンの妻 ヴィヨンの妻
太宰 治 (1950/12)
新潮社

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キッチン 吉本ばなな

 大変失礼な話なのですが、私は昔から、なぜか「サラダ記念日」と「キッチン」を混同していて、「キッチン」と聞くたびに、例の「あなたがおいしいと言ったから・・・」のイメージが浮かんでいたので、「俺には関係ナイネ」と、この名作を手に取ることがなかった。

 そして時が流れ「キッチン」が吉本ばななさんの書いた小説であることを知り、早速購入し、一挙に読み上げ、それはそれは深く感動し、なぜもっと早く手にとらなかったのか、と後悔したのでした。

 前述の通り、「キッチン」について何も知らなかった私が解説するのもなんですが、「キッチン」は国内では200万部を売り上げ、海外25カ国でも翻訳された大ベストセラーです。

 この「キッチン」はおおまかに言うと、祖母と二人で暮らしていたみかげが、祖母を亡くし、祖母の顔見知りの大学生雄一とその父と言っても女装しているので母として扱われるえり子さんとともに、奇妙な共同生活をはじめ、そこで起こる出来事や、みかげの心境の変化などが描かれている話です。

 主要登場人物は三人ともに個性的で、三人の距離感も独特で微笑ましいものです。主人公であるみかげはマイペースで、どんな状況下にあっても自分の価値観を大事にする女性であるのですが、価値観を大事にする方向に努力していると言うよりは、自然とそう言うことを身につけてると言う印象が強いです。
 続編の「キッチン2」ではもっと浮き彫りになりますが、極端な言い方をすれば、「死を意識して、しっかり生きている女性」とでも言うのでしょうか。

 この小説の中で、私の好きな場面は、雄一と一緒に引っ越しハガキを作る場面です。この二人の独特な会話の間合いがなんとも言えません。
 それからもう一つ、二人がなぜか同じ夢を見た後に、みかげがラーメンを作り、雄一がジュースを作る場面。みかげはこの瞬間を切り取り、感動し胸にしまい込むのですが、心の中には「くりかえしくりかえしやってくる夜や朝の中では、いつかまたこのひとときも、夢になってゆくかもしれないのだから」との思いがあるのです。

 文章が幼いなどと、批判の向きもあるようですが、幼いかどうかはともかくとして、とても説得力のある素晴らしい文章だし、自由に筆を運んでいる感じに好印象を覚えました。
 そして何よりも、一行の持つ「瞬発力」がすごい。この「瞬発力」を持った言葉や文章で、読む人の心に風穴を開けるはずです。
 回りくどい注釈や描写よりも、必要な言葉が必要な場所にある事が大事なのだな、と思わず感心してしまいました。

 そんな名作「キッチン」は角川文庫の文庫版「キッチン」に収められています。機会があれば、ぜひご一読ください。
 
 
キッチン キッチン
吉本 ばなな (1998/06)
角川書店

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